毎日、夜明け前に散歩している。歩きながら拝む朝日は格別である。でも、本当をいえば、マスクをせず堂々歩けるのが爽快なのだ。人と会うのはまれだが、薄明のなかマスクなしの人とすれ違えば、「同志!」と声をかけたくなる。
散歩を始めて1カ月だけれど、ある日を境に、いつもマスクをしている初老の男性を見かけるようになった。人通りの絶えた路上なのに、必ず着用している。しかも、歩いても走ってもいない。だだっ広い歩行者用道路の植え込みそばに寝ているのだ。そこをねぐらと定めた無宿の人らしい。
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