震災一年前夜、伊丹市の昆陽池公園(こやいけこうえん)に六千四百本のろうそくが並んだ。一九九六年一月十六日。
凍えるような風の中、みんな一心に灯をともした。風よけのビニールシートを何時間も持ち続けた人。カメラを置いて作業を手伝う記者もいた。気持ちは一つだった。
ボランティア団体「ユー・アイ・アソシエーション」が開く追悼のつどい。一月十六日夕から十七日午前五時四十六分まで犠牲者と同じ数の炎を絶やさない。
今年一月のつどい。会場に震災で夫を失った女性がいた。これまで心の整理がつかなかったが、やっと足が向いたという。「十五年、二十年たって初めて来る人がいるかもしれない。だからともし続けるんです」とアソシエーション代表の赤松弘揮さん(36)。
秋から師走にかけて、小学校などにろうそく作りへの参加を呼びかける。スタッフが子どもたちに作り方を教えるとき、必ず語るエピソードがある。四年前、雨の中のつどいのことだ。
一本一本ははかないろうそくの灯が何百、何千と集まると、風にあおられ、雨にぬれても消えなかった。スタッフは伝える。力を合わせれば乗り越えられる。
私たち人間だって。(写真部 三浦拓也)
=おわり=
2004/12/6