震災の年のクリスマス。兵庫県は強烈な寒波に見舞われた。
さら地が広がる神戸市長田区の鷹取東地区。朝から雪が舞った。身を縮めながら、がれきのそばを横切る女性。寒風、降り続ける雪。被災地の長く険しい道のりを感じさせる光景だった。
「あの冬は寒かった…」。地区の一角で漬物屋を営んでいた柴原庸一さん(68)。震災で自宅と店舗が焼失した。その後、二年間、西播磨のアパートに移り住んだ。「クリスマスは大雪で、えらい神戸が恋しくなったもんや」という。
七年前の秋、心機一転し、自宅跡近くに宿泊施設をオープンさせた。お客さんの入りはまずまず。しかし、地区の人口は八割ほどしか戻っていない。街並みは新しくなったにもかかわらず。
地元商店街では、にぎわいづくりのイベントを計画している。「じっとしとれん。発信せんと」と商店主ら。
鷹取東の新しい街並みはニュータウンのようにも見える。人通りが少なく、家の灯(あか)りもまばらだ。
街灯がともった。心なしか冷たく映った。(写真部 中西大二)
2004/11/30