震災翌年の末、阪急西宮北口駅近くの商店街でライオンの縫いぐるみに出会った。「レオちゃん」という。長文のメッセージが添えられ、最後に「再開発までガンバレ」とあった。
周辺では、古くからの商店街と二つの市場が壊滅した。被災した店舗は二百以上を数えた。
レオちゃんは、薬局の播磨基弘さん(75)が自宅跡から掘り出した。文章を寄せたのは化粧品店の河野洸良(ひろよし)さん(74)。電器店の足立耕作さん(56)が止まったままの時計を見つけ出し、並べた。
いつになれば商店街は立ち直るのか。誰にも分からない。隣保の励ましが頼り。レオちゃんのメッセージには祈るような気持ちが表れていた。
今、同じ場所に再開発ビル「アクタ西宮」が立つ。決して楽な日々ではない。ほかの場所に移ったり商売をやめた店主も多い。
取材に訪れると、「新潟が大変なのに、こんなとこおってもええの」と言われた。そこで、もう一度メッセージをお願いした。
新潟の被災地に向けて。「今、頑張って、とはよう言わん。時間がたって少しゆとりができたら、ぼちぼち頑張ってください」(写真部 三津山朋彦)
2004/12/1