「みなさんの元気なところを、また撮らせてください」
家屋のほとんどが全半壊した神戸市灘区友田町。四人の女性に、被災直後の写真を引き伸ばして持ってもらった。震災一年を前にした師走のことだ。
「まるで孤島に取り残され、必死で生き延びようとしているような心境でした」。四人のうちの一人、大久保スミコさん(74)が振り返った。
被災し近くの避難所に身を寄せたが、いっぱいで入れなかった。同じような住民約五十人が集まり三カ月間、救援物資を大久保さんのガレージに保管し、融通し合った。
中心になって食事をつくったのが四人の女性。朝夕、「いってらっしゃい」「おかえり」と声をかけた。
苦しい日々をくぐり抜けた経験が、地域に親密な空気をもたらした。今、街並みは元に戻り、ほとんどの住民が以前と同じ場所に住み続ける。
大久保さんは言う。「いざというときはお互いさま。近所同士、頼りにしないとね」
姉妹のように手を取り合う四人。笑顔にまた力をもらった。(写真部 藤家 武)
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十回目の「一・一七」が巡ってくる。師走の被災地で出会った風景に「今」を重ねた。
2004/11/29