マクロウオッチ
<マクロウオッチ(12)神戸大経済学研究科・宮尾龍蔵教授>対外純資産、世界1位 日本の「稼ぐ力」は衰えず
昨年4月から1年間、本コラムでは、円安や賃金伸び悩み、財政赤字や少子化など、日本経済が抱える様々な課題を取り上げてきました。コロナ禍とウクライナ侵攻の影響を強く受け、日本の先行きに不安を感じておられる方も多いと思います。2022年の貿易収支が過去最大の赤字を記録したとの報道もありました。しかし、国際的な視点で俯瞰(ふかん)してみれば、日本が世界で稼ぐ力は決して衰えてはおらず、その結果蓄積された対外純資産は世界第1位です。日本経済はそうした基盤に支えられており、先行きは悲観することはない、ということを最終回でお伝えしたいと思います。
対外純資産が増加するメカニズムを説明しましょう。基本的に、「外国との貿易で外貨を稼ぐ」、海外現地生産や証券投資など「貿易以外の取引から外貨を稼ぐ」という二つを合計して、純資産が蓄積されています。
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