街を仕掛ける-新進建築家の公共空間考
(15)新さんきたアモーレ広場が完成するまで(下)
新さんきたアモーレ広場がいよいよオープンしました。デザイン・コンペを受賞したのが2019年3月で、約2年半の歳月をかけ、多くの方々の力をお借りして、10月2日にオープニング式典が開かれました。神戸市長や来賓のご挨拶、テープカットといった通常の式次第は決まっていたのですが、新たな神戸の街が完成するせっかくのタイミングなので、今までには無かったような新しいイメージを打ち出せたらと考えていました。それは、コンペを受賞したときからイメージしていました。
前回のコラムにもありますように、阪急神戸三宮駅前広場では訪れる人々の自由な振る舞いを想定したデザインを提案していました。一人一人が、好きな場所を選び、好きなように過ごしてほしい。広場という公共性の高い場所は、全く異なる価値観をもつ多くの人々の意図を許容する環境が必要だと感じていました。それは、行政や建築家がトップダウンで使い方を決めるのではなく、その場所の価値が人それぞれに生み出すものであってほしいと願っていました。
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