街を仕掛ける-新進建築家の公共空間考
(9)感性実験都市(上)~都市を介して世界の人々と会話をする術を探して~
2018年1月から、ニューヨークに住み、建築家の事務所で働きながら、電車で毎日通勤していました。通勤の最中にこっそりと楽しんでいた遊びがあり、それは一つの車両内でどれだけの人種に出会えるかというものでした。街中を歩いていても、一つの街区ですれ違う人種が毎回違うほど、ニューヨークは多彩な人々で溢れ、使用されている言語の数は150近いともいわれています。そんな都市に身を置き日々を過ごしていると、生まれもバックボーンも違う人々が共に生活をしていくために、ニューヨーカーは他者を尊重し、新たな価値観を受け入れる度量が大きいことに気が付きました。
「この都市こそ究極の公共性だ」。そう感じるやいなや、この都市空間で何かをしたくなる衝動にかられたのです。
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