ひょうご経済プラスTOP 連載一覧 コラム けいざいeyes IoTことはじめ (5)5Gの出現 ~新しい技術が現れた時、大事なこと~

IoTことはじめ

(5)5Gの出現 ~新しい技術が現れた時、大事なこと~

2021.10.13
  • 印刷

 「5G(第5世代移動通信システム)」という言葉が出始めたころ、IT業界を中心に5Gの実装によって「バーチャルリアリティが実現する」とか「無人運転が実用化する」とか、これまで私たちが空想していたような世界が現実となるような話が語られていました。確かに嘘ではないのですが、私たちIoT部門はWi-FiやLPWA(Low Power Wide Are)等の無線に精通したメンバーが多く、5Gが登場した時も、その電波がどれくらいの距離を飛ぶのか、同時接続数は何台まで可能なのか、などの電波特性を気にしていました。Wi-Fiなどの従来の無線に比べて機器が高コストな点も気になって、いつの間にか「世の中は5Gの世界になれば何でも可能になると思っているが、実装はまだまだ先」と勝手に決めつけていました。

 数カ月がたって、「ローカル5G」に関する議論が政府で始まった頃、社内で次年度のIoT開発に関するディスカッションを行っていると、ある幹部から「君たちはローカル5Gには取り組まないの?」と聞かれました。すでに5Gに関して偏見を持ち始めていた私たちは、まだ機器が高コストであるだとか、電波が直進的で回り込みが少ないだとか、技術的な理由を並べてネガティブな説明をしていました。するとその幹部は「見ても触ってもいないのに、どうしてそう思うのかね?」と尋ねました。私はハッとしてついつい「開発を検討させて下さい!」とお願いしました。

この記事は会員限定会員限定です。新聞購読者は会員登録だけで続きをお読みいただけます。