街を仕掛ける-新進建築家の公共空間考
(5)「メタボリズム再考」
公共空間は特定の誰かのためだけに造ることはできません。ターゲット層を定めて新しい市場を開拓するビジネスとは異なる点です。不特定多数の一人一人に合うものでなければならない、と考えられています。言い換えれば、その場所を利用しにくい人が生まれてはいけないということです。これは確かに大切な考え方だと思う半面、日本の公共空間は徐々にリスクを極力回避し、保守的になってきてはいないでしょうか。
誰もがイメージできる範囲内でデザインすることで暗黙の共通ルールができあがってしまい、その結果、国内各地方の公共空間は似通ってきているように見えます。現に公園に置かれている遊具が、滑り台、ブランコ、ジャングルジムといった見慣れた遊具ばかりになっています。
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