兵庫県庁=神戸市中央区下山手通5
兵庫県庁=神戸市中央区下山手通5

 耐震性不足に伴う兵庫県庁舎の建て替えで、県が新庁舎の整備費を約650億円と見込んでいることが18日、関係者への取材で分かった。資材費の高騰などのため1010億円に膨らむと判断した以前の計画に比べ約360億円圧縮した。見直し後の整備費が明らかになるのは初めて。県は21日に開かれる有識者会議に基本構想案を提示する。

 一方、民間オフィスへの仮移転が必要になるなど関連経費は以前の計画より100億円増の約160億円となる見通しで、総事業費は約810億円を見込む。

 県庁舎は、1号館▽2号館▽3号館▽議場棟▽別館▽西館▽災害対策センター-で構成。3号館と同センター以外は県民会館も含めて旧耐震基準で建てられた。井戸敏三前知事時代の2019年に県が示した基本構想では1、2号館を解体し、1号館跡地に行政棟、2号館跡地に高級ホテルを誘致するとしていた。当時の物価で整備費は約700億円を見込んだ。

 21年に就任した斎藤元彦知事は、財政健全化の一環で従前の計画を凍結。建て替えないことも視野に職員の4割出勤などを試したが、全職員を収容できる規模が必要との結論に至り、24年11月の再選後は「コンパクトな庁舎の建て替え」を強調した。3号館と同センター以外を撤去し、1号館と西館の跡地に、旧県民会館機能を備えた新庁舎を建設、災害対応機能を備えた多目的広場を整備するなどの方針を提示してきた。

 関係者によると、県が示す基本構想案では、新庁舎群の整備面積は以前の計画から約3割削減の約9万2千平方メートル、旧庁舎の撤去費を含む整備費は360億円減の650億円程度を見込む。国の補助金や「緊急防災・減災事業債」などを活用し、実質的な県の負担は約560億円に抑えるという。斎藤知事は昨年の知事選で圧縮目標について「500億円前後」と言及していた。

 県は28年度の着工、30年代前半の完成を予定。整備費は物価変動などで増減する可能性があるため、今後の基本計画や設計段階でも見直す方針という。(井上太郎、岡西篤志)