いつ燃え上がるか分からない火種は小さな地方都市にもある。「演劇のまち」として知られる豊岡市の4年前の市長選は、そのことを如実に物語っている。
5期目を目指した現職の中貝宗治(70)は全国的に知名度のある劇作家、平田オリザ(62)を招き、演劇のまちづくりを進めていた。その中貝に挑んだ元市議の関貫久仁郎(68)は立候補の第一声でこう訴えた。「演劇のまちなんかいらない」
結果は関貫が当選。すると直後から旧ツイッター(現・X)の投稿が急増し、全国的に炎上した。「演劇の否定」と捉え、デマや誹謗(ひぼう)中傷が飛び交う。「オリザがまちを乗っ取ろうとしていた」「豊岡市民は全国の笑いものだ」