地球は小さな惑星である。そこに生命が生まれ、酸素を含んだ大気と流れる海を作った。初めて地球を回ったガガーリンが、「地球は青かった」と呟(つぶや)いた。その宇宙船は、科学技術の無限の発展を象徴するように見えたが、同時にそれは、技術が世界を全面的に加工し、改変していく予兆だった。
あれから、人間活動が爆発的に増大し(「グレート・アクセレレーション」)、地質学的には「人新世」と呼ばれる時代に突入した。微妙なバランスで保たれてきた平衡が崩れ、資源の枯渇、廃棄物の蓄積、動植物の絶滅、温暖化が臨界点を越え、世界は今、真っ逆さまに奈落に向かおうとしている。
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