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 9月からこの「随想」を受け持つことになった。夏が終わった途端にお化けの話ばかりで恐縮…と言いたいところだが、そもそもどうして夏がお化けの季節なのか。結論から言うと、これは江戸時代の歌舞伎にまつわる慣習の名残で、たかだか200年ほどの歴史しかない、新しい「伝統」なのだ。

 夏場は暑さのせいで客が入らず、歌舞伎の興行にとっては閑散期だった。そのため、駆け出しの劇作家や落ち目の役者に任されていた。ところが1804年、鶴屋南北(つるやなんぼく)という新米作者が、老境の尾上(おのえ)松助と組んで世に送り出した怪談物の芝居が、見る者を驚かせる大がかりな演出を取り入れて大ヒット。それから毎年夏は怪談物が興行されるようになり、「夏はお化け」というのが定番になっていった。この南北がのちに生み出した作品が、お岩さんの幽霊で知られる「東海道四谷怪談」である。

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2022/9/21
 

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