中・高校時代、毎日のように本屋へ寄り道し、時を過ごした。大人になったら思う存分、本を買いたいと心から願った。
図書館にもよく通った。学校の図書館、地域の図書館に。だが、当時の図書館は今よりも古色蒼然(そうぜん)としていて、置いてある本は「選ばれたもの」。一方、本屋には猥褻(わいせつ)な写真集から、漫画、最新刊の様々(さまざま)な本が並んでいる。思春期の私にとって、本屋は大人社会との大事な接点となっていたのだ。だが、それから40年近くの歳月が流れ、私が学校帰りに寄った4軒の本屋はすべて潰(つぶ)れている。
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