本を出版した直後に晴れやかな気持ちになることは少ない。それどころか心は重く沈みがちだ。間違いや見落としはなかったか、書きすぎてしまったか、つっこみ不足だったか……。現役の都知事の実像に迫ろうと試みた『女帝 小池百合子』の執筆ではとりわけ悩むことが多かった。
ノンフィクション作品に対して名誉棄損(きそん)の訴訟を起こされるケースも増えている。『女帝』を書くにあたっては執筆時から法務上の指導も受けた。現在に至るまで私は訴えられてはいないし、小池氏側から一切、連絡はなく、無視されている状況だ。だが、なぜかネット上では、「『女帝』の著者が小池氏ともめている」といった誤った情報が流れており、「訴訟、大変ですね」と人に言われたりするので驚く。
この記事は会員限定です。新聞購読者は会員登録だけで続きをお読みいただけます。