私は東京に育ち、長く関西には縁がなかった。だからこそ大人になってから足を運ぶようになり、小さなことにも驚きや、新鮮な感激があった。
例えばネギである。最近でこそ東京のスーパーでも九条ネギのような青ネギを見かけるようになったものの、関東人にとってネギとは元来、白いもの。青い部分は食べない。ところが関西では、ネギは青いのだった。お惣菜(そうざい)や、お蕎麦(そば)の上にのせられた刻みネギの青さが、なんと物珍しく、目に清々(すがすが)しく映ったことか。
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