今は人の外見だけを見ても貧富の格差がわからない時代だと言われる。ファストファッションはちょっと見ただけでは高価格帯の服装と見分けがつかず、スマートフォンが通信会社との契約で無料のものか、あるいは格安の回線かなども見ている限りわからない。
かつての時代のように、貧困層と呼ばれる人々が、ぱっと見てもわからない状態で社会に潜んでいることは、ある意味良い部分もあるいっぽう、困難もある。見てわからなければ救いの手が差し伸べられにくいだけでなく、その当事者さえ、自身を苦しめる格差には気づきにくくなる。飢えたり、体調を崩してはじめて、周囲が「気がつかなかった。服装もちゃんとしていたし、スマートフォンも車も持っていたし」と驚くケースがあるかもしれない。
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