子どものころ、学校から帰った後のおやつの時間やお風呂上りのときなんかに、縁側で座ってよくグレープフルーツを食べていた。当時はグレープフルーツに限らず果物は今よりずっとすっぱくて、種もたくさんあった。半分に切ってお皿に載せ、砂糖をかけてスプーンですくって食べ、口の中に残った種をふざけて庭先にぷっと飛ばしたりしていた。
私が高校生ぐらいになったある時、母親が「あれ、こんなところに木なんて生えてたっけ」と気がつき、それが実をつけるまで子どものころに食べていたグレープフルーツだということに気がつかなかった。
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