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 ここ2年ばかり、美術館を見て評するという仕事をしている。とくにこのところは、ご時世もあって休館していたり開催時期が延期したりと大変だけれど、一方で物語を書くための学びも多い。

 以前観た「ハマスホイとデンマーク絵画」という美術展の中で、デンマークで風景画が流行した背景に、当時、不安定な情勢に相関して盛り上がるナショナリズムがあった、と解説が記されていた。その国ならではの風光明媚(めいび)な山や自然のある風景画は、国粋主義と相性がいい。自分の立っている場所への礼賛だからだ。やがてヨーロッパで強まる個人主義的な考え方を反映した室内画、親密な関係を暗示するベッドやタンスのある絵画が増え始める。ハマスホイはその時期の作家だ。ナショナリズムから背を向けるように、妻の後ろ姿が描かれる。

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2021/6/9
 

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