保護時、ひどい猫風邪をひいていた望那くん(画像提供:彩月&萌花にゃんさん)
保護時、ひどい猫風邪をひいていた望那くん(画像提供:彩月&萌花にゃんさん)

今から5年前の夏、Xユーザー・彩月&萌花にゃんさん(@azukimokanyan)は、自宅の車庫で1匹の小さな黒猫と出会いました。猫風邪で衰弱し、必死に助けを求めるように鳴いていたその子が、のちの「望那(もな)」くん(男の子)です。

「2020年8月23日のことでした。仕事から帰って車を車庫に入れようとしたとき、まだ生後まもない望那が鳴きながらこちらに向かって走ってきたんです。車庫には小さな窓があり、裏から出入りできたので、そこから入り込んでしまったのだろうと思いました」

最初は「かわいい」と思った飼い主さん。しかし、よく見ると顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃ。親猫の姿も見当たりませんでした。

「少し迷いましたが、このままでは死んでしまうと思い、そっと抱き上げました。鳴きながらもおとなしくしてくれたので、そのまま家に連れて入ったんです」

当時、家には父と同居猫が3匹いました。突然子猫を連れて帰ったことに父は驚いたものの、状況を理解し、快く保護を受け入れてくれたそうです。

「父に『この子を連れてきちゃった。このままだと死んじゃうかもしれないから』と恐る恐る望那を見ると、驚いた様子でしたが、『そうか、かわいそうだもんな』と。望那を保護することを許してくれました」

■猫風邪と闘いながら始まった新しい暮らし

お迎え初日は夜で動物病院も閉まっていたため、望那くんは別室で過ごしました。翌日には受診し、ひどい猫風邪と診断されます。

「猫エイズと白血病は陰性でした。まず栄養補給の注射や薬を出してもらい、寄生虫も見つかったので体力回復後に虫下しを処方してもらいました。ご飯は栄養のあるものを与え、3週間ほど通院しました。どうしても長時間留守にする時は動物病院に預けました」

回復を願っての通院が続くなか、望那くんは飼い主さんの姿が見えないと落ち着かず、毎日のように鳴いていたといいます。

「望那は私がいなくなるとずっと鳴くので、隔離部屋で一緒に寝ていました。体調が急変したら大変だと常に気を張っていたのを覚えています。風邪が治るまで、望那と同居猫たちのお世話で毎日てんてこ舞いでした」

少しずつ体調が安定すると、部屋を探索したり走り回ったりする姿が見られるようになりました。顔にスリスリして甘える仕草も増え、ご飯よりも撫でてほしいと訴えるほどの甘えん坊に成長していきます。

1カ月半ほど経ち、ようやく同居猫との対面へ。彩月ちゃん、乃空くん、羅希くんと出会いました。

「望那は『生まれた時から一緒にいるよ』というような様子で、壁を感じていませんでした。彩月も乃空も羅希も保護猫出身で、特に乃空と羅希はすぐに一緒に遊ぶようになりました。彩月は元々ほかの猫とべったりするのが苦手なので一歩引いていましたが、受け入れてはくれました。望那は気にすることなく、自分からズイズイと近づいて挨拶し、乃空と羅希とはその日のうちに一緒に寝るようになりました」

■甘えん坊で特別な存在ーー今もそばで寄り添う日々

現在の望那くんは、筋金入りのかまってちゃん。寝ていても飼い主さんが動けばどこへでもついていきます。

「トイレやお風呂にもついてきて、足にスリスリしながらゴロゴロと甘えます。ご飯を食べると右目から涙が出てしまうので、食後は必ず目を拭いてあげています。望那も『拭いてくれる』と分かっているのか、大人しく待っていてくれるんです」

ときにはくしゃみを連発することもあり、その姿が飼い主さんの子どもの頃に暮らしていた黒猫と重なりました。

「家族からは『その子が生まれ変わって、またうちに来たんじゃない?』と言われることもあります。そうだったら、とても素敵だと思います」

出会いから5年が経ち、望那くんは飼い主さんにとってかけがえのない存在に。今も毎日、強い絆を感じさせてくれるそうです。

「望那に出会ってから、もう5年。あっという間でしたが、めぐり会えて本当に良かったと心から感じています。『あの日、走って私のところに来てくれてありがとう。今、とってもしあわせです。これからもいっぱい思い出をつくろうね! 大好きだよ、望那!』と伝えたいです」

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)