風俗などの大人のお店には、さまざまな働き方があります。基本的には「在籍」といって1カ所に身を置くのが一般的です。その他には「出稼ぎ」と遠方に足を伸ばし、一定期間スケジュールを凝縮した勤め方も可能です。
女の子によっては敢えて在籍店を作らず、出稼ぎ労働を専門として全国を飛び回るタイプもいます。10日勤務×2エリアをはしごして、自分の家には1カ月の中で1週間程度しか帰らないツワモノも珍しくはありません。
「出稼ぎ」と聞くとかなり古風な働き方に思えますが、夜職界隈では普通なこと。とはいえ住まいを離れて見知らぬ地域に飛ぶのは勇気が必要でしょう。にもかかわらず、なぜ彼女たちは近所で働かないのか。出稼ぎ専門に動く現役キャストに、その真相を聞きました。
■出稼ぎしか無理なキャストの真の姿は「ナマケモノ」!?
出稼ぎは「10日間勤務〇〇万円保証」のように稼ぎのめどが立ちやすいことが最大のメリットです。しかし勤務日数や1日の稼働時間はお店からの条件指定があり、守らねば日給保証や交通費カットも有り得ます。
1日12時間以上の勤務に加え10日間の連勤はかなりハードですが、それでも出稼ぎを好む女の子は絶えず存在します。そんな出稼ぎ女子のひとりであるRさんは「通える範囲に職場があると怠けてしまう」と語るのでした(以下『』内、Rさん談)。
『前は在籍しながら働いていたんですけど、当欠と遅刻の癖が抜けなくて。在籍歴が長くなるにつれて、気が緩んで勤怠が悪化するタイプなんです。ちゃんと出勤できないと収入は落ちるし、店からも干されるので、自分を追い込むために出稼ぎに切り替えました』
確かに、泊まり込みで働けば遅刻の心配もなく、逃げることもできないスパルタ方式で働けます。寝て、目覚めたらすぐに職場へ直行できる環境も、仕事モードへ切り替えるのに最適なのかもしれません。
「ナマケモノだから出稼ぎで自分を追い込む子、結構いますよ」と語るRさん。
例えば、「当日、気まぐれで欠勤しやすい」「入店と退店を短スパンで繰り返す」「飽き性」などの特徴に当てはまる子は、1カ所で地道に頑張るよりも“一発ドカン”な出稼ぎが向いているそうです。「まとまった日数を頑張れば〇〇万円もらえる!」とゴールが見えやすいのも、メリットなのでしょう。
Rさんが稼働するのは1カ月の間、14日間のみ。1日15時間待機を2週間続け、残りの2週間は東京でのんびりと暮らす生活です。日給保証は1日5万円。リピート店を全国に複数作り、良いサイクルで回してあちこちをめぐる働き方でした。
■行きつくした末に地方へ飛ぶという選択肢も
どこかのお店に所属しても、他のお店にすぐ移ってしまい、店舗を転々と入退店するキャストを俗に転々虫と呼びます。そんな転々虫なMさんは、「関東圏のお店を転々しまくったら、行くところがなくなりました(笑)激安店とかは絶対にイヤなので、そしたらもう出稼ぎがイチバンかなと」と語ります。
地域にMさんが所属できるお店が無くなってしまったことをきっかけに、出稼ぎへシフトチェンジしました。彼女の働き方は、10日間勤務×3エリアのハシゴや、同じ店に1カ月間勤務し続けるなど、かなりの気合が入っています。
Mさんは若く、日給7万円~の保証が出るため最低でも1エリアで70万円が確約されます。さらにひと月ぶっ通しで働けば月収は100万円をゆうに超え、在籍するよりも遥かに良い給料が手に入るとのことでした(以下『』内、Mさん談)。
『働き詰めなので家にはほぼ帰らないし、光熱費は毎月激安。長期間勤務だとお店に提供される寮費も安くなるから、出費は食費くらいかな?』
関東で働いていた時はどうもやる気が起きず、気まぐれで入退店を繰り返していたそう。しかし遠方に足を延ばすことで気まぐれが治り、短期間で働くエリアを変えられるのも気分転換になりました。その結果、収入は爆上がり。出稼ぎは彼女にとってはベストな働き方だったのです。
ちなみに貯めたお金をどうしているのか尋ねたところ、「全然遣ってない。タンス貯金です」との回答が(苦笑)今はお金を稼ぐことが楽しくなり、仕事に夢中になっているようです。
出稼ぎはかなり大変な働き方ではありますが、単純に考えると休みを挟みながら働くか、それとも一気に詰めて働くかという2択の話なので、合う人には合うようです。
体力と行き場さえあれば出稼ぎは何歳でも可能。全て自分で決められる自由さは、やはり夜職の大きなメリットですね。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)
元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。
























