ブンコレ~おすすめ文具コレクション
TSUNAGO(ツナゴ) 短い鉛筆つなぎ「延命」
1本で約50キロメートルも書けてしまう鉛筆。でも、使い込んで愛着は最高潮という頃合いで、ちびてしまって、さようなら-。こんなけなげな命をつなぐ鉛筆削りが現れました。
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約80年にわたって専業で手掛ける中島重久堂(大阪府松原市)が2015年に発売した、その名も「TSUNAGO(ツナゴ)」。短くなった鉛筆に別の鉛筆を差し込んでつなぎ、再生させる。刃だけでなく、接合のための穴を開ける錐を備えた。
まず、短くなった鉛筆の尻を錐にあてがい、時計回りに回して穴をくりぬく。次に、差し込む側の先端を刃で凸型に削る。さらに、凸型を穴にはまるよう整形する。三つの工程をツナゴでこなす。木工接着剤で固定すれば出来上がりだ。
同社はプラスチック小型鉛筆削りで、国内シェアの約8割を占める。発明家のアイデアを、ものづくりの精度とクラウドファンディングで実現させた。
約17万個を手掛け、欧州や台湾でも支持される。「鉛筆1本、使い切った」と目を輝かせる親子に、同社は「先人の『もったいない精神』が伝わったかな」。(佐伯竜一)