捜査車両に乗り込む勢昇容疑者=10月28日午後、葺合署
捜査車両に乗り込む勢昇容疑者=10月28日午後、葺合署

 逃亡18年、最後のキーマンは神戸に潜伏していた。神戸市で2007年、指定暴力団山口組系多三郎一家の後藤一男組長=当時(65)=が刺殺された事件で、指名手配中だった指定暴力団神戸山口組山健組系幹部の勢昇容疑者(76)が逮捕され、1週間が過ぎた。山口組執行部へのクーデター未遂に端を発し、10年前の山口組分裂につながった事件。その詳細を知る可能性があり、捜査関係者は「どこまで語るか」と注目する。

 「勢さんか」。10月26日午後6時ごろ、神戸市東灘区の路上。日の落ちた街で、建物から出てきた小柄な男に捜査員が声をかけた。

 長袖Tシャツに帽子、マスク姿で、首にタオルをかけて散歩に行くようだった。「うん。そうや」。動揺した様子も見せず、そのまま身柄を確保された。