会社を辞めたのは30歳のときである。作家になるまでの15年は、フリーランスでライター・編集・校正などの仕事をして生計を立てていた。自宅での作業が主だったから、毎日の家事も多くを担うことになる。よほど向いていないと見え、料理はいつまで経(た)っても得意にならなかったが、その他のことはひと通りこなしていた。
主婦の方には同意していただけるかもしれないが、生活というものは無限のルーティン、つまり決まった作業の積み重ねで成り立っていると思う。お盆でもクリスマスでも洗濯物は出るし、ごみも捨てなければならない。外食をしないのなら、料理などはむしろイベントの時ほど手がかかりがちとなる。
この記事は会員限定です。新聞購読者は会員登録だけで続きをお読みいただけます。