大使になって身に沁みたのは、在外公館で勤務する外交官と本省で勤務する外務官僚とでは、必要とされる能力や資質に大きな違いがあることだ。
外交官の仕事は、大きく分けて三つある。人脈の開拓、情報の収集、対外発信。どれをとっても、組織の神輿(みこし)の上に座っていて事足りる仕事ではない。キャンベラにあっても、相手のオフィス訪問、レセプション・朝昼夕食会・社交行事への出席、講演、マスコミとのインタビュー等を根気よく地道に繰り返しながら、この三つを進めていく必要がある。
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