ヤマモトマサアキ・画
ヤマモトマサアキ・画

  第一章 のぼせ者(八十二)

 止観の大元に、人の心を奥底から震撼させられるだけの仕掛けがない。恐怖の類型がいかにも大味で、そこには人の悲哀や絶望に至る妙、あるいは機微というものが一切感じられない。