ヤマモトマサアキ・画
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  第一章 のぼせ者(四十九)

 弾正は、自分の死に際のことなど、今までに真剣に考えたことは一度もない。そんな愚劣なことを思案する暇があるのなら、今という瞬間の連続を、関心のある物事に対して夢中になって過ごしたい。