岩国にある温泉の露天風呂に浸かっていると、三つくらいの男の子がおばあちゃんと手をつないで現れた。私とおばあちゃんの間にちょこんと座り、いかにも気持ちよさそうにあたりを見回した。夜空が一面、頭上に広がり、目の前の川も、錦帯橋も、暗がりに飲み込まれていた。橋を渡った先の、小山の頂上に建つ岩国城だけがライトアップされ、闇の中に浮かび上がっていた。掌(てのひら)におさまりそうなほどの、小さな光のかたまりだった。
岩国にある温泉の露天風呂に浸かっていると、三つくらいの男の子がおばあちゃんと手をつないで現れた。私とおばあちゃんの間にちょこんと座り、いかにも気持ちよさそうにあたりを見回した。夜空が一面、頭上に広がり、目の前の川も、錦帯橋も、暗がりに飲み込まれていた。橋を渡った先の、小山の頂上に建つ岩国城だけがライトアップされ、闇の中に浮かび上がっていた。掌(てのひら)におさまりそうなほどの、小さな光のかたまりだった。