街を舞台に(撮影・三津山朋彦)
街を舞台に(撮影・三津山朋彦)

 その日、私は予定より早く家を出る。本当はぎりぎりまで粘って、1枚でも小説を書き進めておくべきなのだが、どうにも落ち着かず、集中できない。ならば、いっそのこと出発してしまおうと思ったのだ。