地産地消くらぶ
<84>小田垣商店社長 小田垣昇さん(50)丹波篠山市
子どもの頃、喉が痛くなると、祖母が黒大豆の煮汁を飲ませてくれた。「不思議とすぐに元気になれた。皮にたっぷり含まれるアントシアニンなどのおかげだったのでしょう」。ほんのりとした甘さとともに残る淡い思い出だ。
丹波篠山の特産黒大豆「丹波黒」の老舗卸、小田垣商店の12代目。旬の12月、仕事で忙しい父とは食卓を囲むこともできなかった。「因果な商売。継ぐ気はなかった」と振り返る。大学を出て別の商社に勤めた。29歳で篠山に戻ったが「黒豆のことはほとんど知らなかった」。農家からの仕入れや営業を担当し、丹波黒のイロハから学び直した。
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