飲食店オーナーの男性から会食時に酒や金品の提供を受けたとして、兵庫県警は24日、西播方面の警察署で署長を務める男性警視(60)を訓戒の処分とした。警察庁は同日、一部の会食に参加していた村井紀之・前本部長(58)=官房付=について、監督責任も考慮して注意処分とした。いずれも懲戒処分に至らない「監督上の措置」に当たる。村井氏は24日付で辞職した。
オーナー男性の会社は警備業や駐車監視員の業務を営み、県警本部の食堂も運営。県警は今年夏、外部から「県警幹部が飲食接待を受けているのではないか」との情報提供を受け、調査していた。
県警によると、警視は2023年末から約10回、この男性が経営する神戸市中央区の焼き肉店を団体や数人一組で利用。店側からウイスキーや日本酒を無料提供されていた。独自商品のレトルトカレーを土産に渡されることもあった。また25年1月、男性と別の店で食事した際には「タクシー代」として2万円を受領したとされる。
県警監察官室が調べたところ、店は警視のグループに限らず、団体客には広く酒を無償提供していた。警視や県警幹部が会合1回で得た利益は1人200円~2500円程度。レトルトカレーは原価が約100円で、在庫処理を兼ねて客に配られていた。
2万円については、警視は帰宅後に現金入り封筒がかばんに入っていることに気付いた。翌日に店へ返しに行ったが受け取りを拒まれ、同額相当に近い品を後日、返礼で送ったという。
男性の会社と県警の契約、許認可についても不正がないか精査したが、不審な点は確認されなかった。
警視にとって男性が利害関係者に該当せず、利益も少ないため、県警は違法性がないと判断。酒の提供回数が多く、いったん現金を受領した点などを考慮し、訓戒とした。
村井氏も店での会食に参加したことがあり、酒が提供される場にいた。警察庁は男性が県警の利害関係者であることも踏まえ、当時のトップとしての責任も問うた。
県警はこのほか、警視と一緒の会合や別の集まりで店を利用し、酒の無料提供を受けていた県警幹部らを口頭で注意した。
村井氏は23年春から県警本部長を務め、25年春に中国四国管区警察局長に転出。9月8日付で辞職予定だったが、直前に官房付となっていた。
県警本部長のときには、県の告発文書問題に絡み、元県議の竹内英明氏(故人)について「逮捕される予定だった」とする政治団体「NHKから国民を守る党」党首・立花孝志被告(58)の発言を県議会で「事実無根」と全面否定し、異例の対応が注目された。
























