だて眼鏡に生徒たちが映り込む。視力が失われても、先生の目は生徒たちを捉えている=2025年12月12日、神戸市中央区野崎通1

 葺合高校(神戸市中央区)で英語を教える藤本恵司さん(64)の目は見えていない。その代わり、生徒たちの声の方へと体を向け、じっと耳を傾ける。だから皆、先生を見つめ返す。

 幼い頃に右目を失明し、16歳で左目の視力もなくなった。盲学校で学び、自分のできることを探し求め、英語教諭に。点訳された教科書を使い、補助の先生とともに教壇に立つ。

 子どもらは、先に名前を名乗って質問し、教室や校内で先生が困っているのを見れば、そっと手を取る。藤本さんは「学び合ったり、助け合ったりしているんですよね」。

 心を閉ざした時期もあった。そこから正直に思いを伝えることが大事と気付いた。間違いを素直に謝ったり、助けてほしいことを伝えたり。「私が心を開くと、やはり周りも開いてくれるんです」

 藤本先生の眼鏡に生徒たちが映り込む。その瞳は、笑顔の彼らを捉えていた。(鈴木雅之)

部活動を終え、生徒たちとともに帰路に就く藤本恵司教諭(右から2人目)。おしゃべりで自然と笑顔になる=2025年12月12日、神戸市中央区野崎通1

教室で先生と向き合う子どもたち=2025年11月25日、神戸市中央区野崎通1

白杖を手に、点字ブロックのある廊下を歩く先生。校舎建て替えの際、設置をお願いしたという=2025年10月9日、神戸市中央区野崎通1

点訳された教科書をなぞる先生の指=2025年11月26日、神戸市中央区野崎通1