
葺合高校(神戸市中央区)で英語を教える藤本恵司さん(64)の目は見えていない。その代わり、生徒たちの声の方へと体を向け、じっと耳を傾ける。だから皆、先生を見つめ返す。
幼い頃に右目を失明し、16歳で左目の視力もなくなった。盲学校で学び、自分のできることを探し求め、英語教諭に。点訳された教科書を使い、補助の先生とともに教壇に立つ。
子どもらは、先に名前を名乗って質問し、教室や校内で先生が困っているのを見れば、そっと手を取る。藤本さんは「学び合ったり、助け合ったりしているんですよね」。
心を閉ざした時期もあった。そこから正直に思いを伝えることが大事と気付いた。間違いを素直に謝ったり、助けてほしいことを伝えたり。「私が心を開くと、やはり周りも開いてくれるんです」
藤本先生の眼鏡に生徒たちが映り込む。その瞳は、笑顔の彼らを捉えていた。(鈴木雅之)



























