■尼崎の「深正院」 家老・玄蕃批判で生まれた物語
ホラー映画と思うなかれ。兵庫県尼崎市の阪神電鉄大物駅に近い深正院の境内には、呪いの井戸がある。
怨霊の名は、お菊。
江戸中期の元禄年間のことだ。尼崎城主青山家の家老は、女中のお菊に想いをかけていた。それを知った妻は嫉妬心から給仕の飯へ縫い針を入れる。食べる寸前に気付いた家老は激怒。「自分を殺そうとした」とお菊を井戸に投げ込んだ。
すると祟りなのか、家老家は途絶えて、屋敷跡には寺が建立された。さらに100年後にお菊と同じく、女性が後ろ手に縛られた姿の怪しい虫が大発生する。
-と、ここまで書けば、気付く人は多いだろう。そう。「1枚、2枚…」で知られる皿屋敷伝説とよく似たストーリー構成になっているのだ。
尼崎市歴史博物館の河野未央さん(46)は、物語の舞台設定上、伝承の寺は深正院で、家老は実在した「貴田玄蕃」であるのは、ほぼ確実とする。しかし家が滅びたという史実はなく、玄蕃が悪家老だったかというと、そうでもないらしい。
尼崎には玄番北之町や玄番南之町の地名が残る。それらは玄蕃が青山家に請われて筆頭家老となり、お堀の整備などを成し遂げた功績が基になっている。
「玄蕃は熊本の藩から、いわばヘッドハンティングされた人物です。尼崎では好待遇をねたまれ、藩政に不満を持つ民衆もいておかしくない。そこから、玄蕃批判の物語が生まれたのではないでしょうか」
確かに「喜多玄蕃」などと漢字だけ変えて揶揄される文献があるのも事実だ。
その上で別の識者は、「播州皿屋敷」が下地となった可能性を指摘する。姫路の悪家老「青山鉄山」は浄瑠璃作品での実在しない人物だが、それが尼崎では城主の青山に連想され、似た伝承ができたという説だ。
屋敷に勤めた女性が主家にいじめ殺されるのは、現代で言えばまさにパワハラの極み。しかし、それが悪意のこもった作り話だとしたら…。深正院の井戸をのぞくと、怪談とは別の「怖い話」も見えてくる。
冒頭の「お菊に似た虫」がジャコウアゲハのサナギなのは、よく知られた話。藤野芳雄住職は「昔は井戸にお菊虫がたくさんいたと聞いています」と笑った。(池田大介)
【メモ】伊藤篤氏著「日本の皿屋敷伝説」によると、皿屋敷に似た伝承は岩手県から鹿児島県まで全国48カ所に伝わる。「元祖」は不明だが、出版物や演劇を通して広がったとみられる。「お菊虫」の大発生は記録にもあり、伝播に影響したとの見方も。尼崎の伝承は江戸後期の町奉行・根岸鎮衛(やすもり)の雑話集「耳袋」、文人・大田南畝(なんぽ)の「石楠堂随筆」などに見られる。

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