点字紙を使った製品のデザインを手がけた西田佳代子さん=芦屋市公光町
点字紙を使った製品のデザインを手がけた西田佳代子さん=芦屋市公光町

 障害のある人たちが働く「就労支援センター ワーク・キューブ」(兵庫県芦屋市公光町)が、点字の突起を雨粒や星に見立ててデザインしたメモ帳や封筒、便箋などを作っている。点字紙は厚く、重みもあって処分しづらい。そもそも良質な紙を使っているものが多く、捨てるのはもったいない。そんな悩みからユニークなアイデアが生まれた。手にした人たちからは「ポコポコしていてかわいい」と好評を得ている。(中川 恵)

 ワーク・キューブは就労継続支援A型事業所で知的障害などがある27人が在籍。造花の製造販売や会計入力作業、芦屋大学内のカフェでの接客などに取り組む。

 点字紙の再利用は2021年、芦屋市身体障害者福祉協会から打診された。試しに印刷してみたが突起部分にインキが乗らない。シールを貼ってもはがれてしまう。「もう読まないものなので、いっそのこと突起をつぶしてはどうか」。麺棒で突起を平らにすることで印刷が可能になった。

 デザインを担当するのはワーク・キューブの利用者で発達障害のある西田佳代子さん(45)=同市。コロナ禍で在宅での仕事が可能になったことが肌に合い、得意の絵を生かして紙文具のデザインを始めていた。

 リサイクルされた点字紙を眺めながら、まずは点字が絵の邪魔にならないように植物をあしらった一筆箋を作った。そのうち、点字を星に見立てた「星空ノート」、雨に見立てたレターセットなど点字を生かしたデザインを考案。自身が飼っている猫を参考にした「あくびがうつる」「食う 寝る 出す」など、動物を描いたメモ帳も手がける。

 買った人からは「案外引っかからずに文字が書ける」「点字の紙に初めて触れた」などの声が寄せられる。点字紙の再利用でワーク・キューブには点字をつぶす、印刷物を製品に仕上げる、といった作業が加わった。西田さんは「言われたことをやるばかりだったけれど、新たに仕事をつくれたことがうれしい。リサイクル紙を通して点字を身近に感じてもらえたり、健常者と障害者の距離が縮まったりしたらと思う」と話した。

 手作り雑貨販売サイト「ミンネ」ではメモ帳とノートをセット(税込み440円)で販売。ワーク・キューブでは単品でも販売している。ワーク・キューブTEL0797・21・5577