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現地で保存、活用されることになったユニチカ記念館=尼崎市東本町1
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現地で保存、活用されることになったユニチカ記念館=尼崎市東本町1

 兵庫県尼崎市の市外局番が「06」になる契機をつくり、市内で現存する最古の洋館とされる国の近代化産業遺産「ユニチカ記念館」(東本町1)について、市とユニチカ(大阪市)が現地で保存と活用を進める覚書を交わした。県が建物の無償譲渡を受けて市内の公園に移築するとした方針から一転、ユニチカが建物を市に寄付し、市が本年度内にも土地を購入することになった。(広畑千春)

 市は2019年にオープンした尼崎城とともに、南部地域の観光や魅力向上に生かす方針。

 同記念館は、英国式のれんが造り2階建て。1900(明治33)年、ユニチカの前身である「尼崎紡績」の本社事務所として完成し、大阪から電話線を引いたことで市外局番が「06」になったとされる。尼崎紡績は市内で最初の大工場で、城下町として栄えた尼崎が「工都」として発展する契機にもなった。

 記念館では近年、同社の創業以来の史料などを展示していたが、老朽化により2019年7月に閉鎖。同社は改修や耐震化工事に巨額の費用がかかるため解体を検討したが、歴史的価値の高さから市、県と3者で協議してきた。

 20年には県が建物の無償譲渡を受け県立尼崎の森中央緑地(扇町)に移築する案を出したが、概算で10億円にも上る費用がネックに。県は今年7月に方針を撤回し、尼崎市で取り組むよう要請した。市議会では現地保存を求める要望書が全会一致で採択されていたこともあり、市は「市民共有の財産として残すべき」として、本年度内にも土地(約3千平方メートル)を購入する方針を決めた。

 覚書は10月末に締結。維持管理費用は、同館を管理している一般社団法人「ユニチカ修斉会」の寄付をもとに基金をつくって賄い、ふるさと納税などを充てることも検討するという。

 近くの小田南公園では2025年のプロ野球・阪神タイガース2軍球場移転に向け再整備が進む。市は「観光やまちづくりの観点からも活用方法について全庁的に考えていきたい」としている。

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