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まるでパリのよう? 放射状に道が延びたJR立花駅の航空写真(尼崎市立地域研究史料館所蔵)
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まるでパリのよう? 放射状に道が延びたJR立花駅の航空写真(尼崎市立地域研究史料館所蔵)
「モンテーニュ通り」と名付けられた立花商店街=尼崎市立花町4
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「モンテーニュ通り」と名付けられた立花商店街=尼崎市立花町4
JR立花駅南側
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JR立花駅南側

 兵庫県尼崎市内にある各駅を起点に記者が街を歩き、人々との触れ合いや見どころを紹介します。

※主に週末に掲載します。(2016年1月の連載を一部加工しています=年齢、肩書は当時)

■JR立花 店主ら推進の「パリ化計画」 モンテーニュ通り、シャンゼリゼ通り…「商店街はジャングルや」

 駅を中心に、クモの巣のように広がる道路。「まるでパリみたいやん」。誰かが言い始めた。

 計画はそこからスタート。名付けて「たちばなパリ化計画」。

 「まずはエッフェル塔を建てるんや」「そしたら凱旋(がいせん)門もいるで」。駅前では、パリジェンヌならぬ“タチバナジェンヌ”たちが今日も、まちの将来について侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をしている。

 「JR立花駅は、住民たちの手作りの町なんです」。尼崎市立地域研究史料館。辻川敦館長が歴史を解説してくれた。

 駅は旧立花村が鉄道省に要望して、1934(昭和9)年に開業。事前にライバルの武庫・大庄両村と激しい競争が繰り広げられたといい、村民らは周到な区画整理計画を提示しようと奔走した。

 「日本の都市計画は明治以降、ヨーロッパをモデルとしてきた。立花の放射状道路もそういった西洋の都市をイメージしたのでしょう」と辻川館長は推測する。

    □

 それから約80年。この都市のかたちに目を付けたのが、駅前に八つある商店街の商店主たちだった。

 「パリとそっくりやん」。店主らでつくる「立花商業地区まちづくりグループ」が昨年、この衝撃的な“事実”に気付いた。

 店主らの動きは速い。駅北側の「立花商店街」は「モンテーニュ通り」、北東に延びる「立花東通商店街」は「シャンゼリゼ通り」…。通り名は早速、衣替えされ、「パリ化計画」は着々と進んでいく。最終計画は、駅前にエッフェル塔を建ち上げることだ。

 昨年11月には「立花×パリ祭」も開催。通りを散策する「ツール・ド・タチバナ」のコースを、同グループの峯松完治会長に案内してもらった。

 なぜかラーメンと親子丼がセットで売られている中華料理店、おもちゃしか販売していなさそうな文房具店。あまりにも、謎めいた店が多すぎる。

 漫才師顔負けのトークを繰り出すコーヒー店主、土井祥司さんが叫んだ。「お店だけじゃなくて、お客さんもおもしろい人ばっかり。商店街はジャングルみたいなところや!」

 パリにあるジャングル。ここはタチバナ。まちは魅力と可能性、そして人情に満ち満ちている。

   ◆   ◆

 1日の平均利用者数は5万436人(2014年度、JR西日本調べ)で、JR神戸線の普通電車のみが停車する駅の中で最多。駅南側のデッキでは「えんがわプロジェクト」などの多彩なイベントが開催されている。

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