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3月に開設した関西最大規模の「アマゾン尼崎フルフィルメントセンター」=尼崎市東海岸町
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3月に開設した関西最大規模の「アマゾン尼崎フルフィルメントセンター」=尼崎市東海岸町
パナソニック跡地に入った物流施設「ロジポート尼崎」=尼崎市道意町
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パナソニック跡地に入った物流施設「ロジポート尼崎」=尼崎市道意町
尼崎市の「布谷計器製作所」とマッチングが成功して取引を始めた陽光電機=伊丹市森本8
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尼崎市の「布谷計器製作所」とマッチングが成功して取引を始めた陽光電機=伊丹市森本8
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 兵庫県尼崎市で物流施設の進出が相次ぎ、その床面積は20年前の12倍となる約150ヘクタールに上っている。かつて「工都」と呼ばれたまちに空いた土地ができ、急成長する物流業界が大消費地へのアクセスの良さに目をつけ、2025年の大阪・関西万博への期待感も込めて先手を打つ格好だ。一方で、コロナ禍や物価高にあえぐ中小企業は多く、法人市民税は伸び悩んでいる。(中川 恵)

■ドラマの一幕にも  

 「物流は血流! 尼崎は左の脇腹!」

 キャバ嬢から宅配ドライバーに転身した主人公のシングルマザーが、運送会社の同僚にそう鼓舞される。NHKの夜ドラ「あなたのブツが、ここに」の一幕は、舞台となった尼崎市内が物流の最前線になっている現状も反映した。

 とりわけ注目されるのは臨海部を含む市域南部だ。今年3月、アマゾンジャパン(東京)が、関西最大規模の物流施設を開設。2023年秋には、日本GLP(東京)も大規模物流施設を着工する予定だ。

 さらに、県は万博会場の大阪・夢洲に近いとして、建設資材の運搬拠点となる埠頭を臨海部に設ける方針を明らかにしている。

 市経済活性課などによると、物流施設は市内で右肩上がりに増えて21年度の床面積は151ヘクタールに。近年はコロナ禍の外出自粛で通販市場が拡大し、大都市に近く、従業員を確保しやすいことも背景にあるとみられる。

■工都の変遷と危機感 

 高度経済成長期に「鉄のまち」と呼ばれた尼崎市。鉄鋼業は業界再編で停滞し、金属・機械業が台頭する中、膨大な下請け工場も産業構造の転換を迫られた。

 00年代には、パナソニックのプラズマパネル工場が進出して経済活性化の起爆剤と期待されたが、収益力が低迷して程なく撤退。今では、その跡地にも二つの物流施設が進出している。

 ただ、物流に沸く中でも、市幹部は危機感を隠さない。「大規模施設が進出できる土地はもう市内になく、残っているのは臨海部南端の一部だけではないか」と話し、こう続ける。

 「活況は業界の一つの側面に過ぎない。市にとっての緊急課題は、中小零細企業をどう支援するかだ」

 法人市民税は増減しつつも、この10年間でやや下降したという現実もある。

■取引仲介の場づくりも

 「AmaPortal(アマポータル)」

 尼崎市がそう名付けて22年度に開設したサイトは、市内にあるそれぞれの企業の「強み」や求人情報を一堂に載せる。

 狙いの一つは、企業の新たな取引をつなぐ「マッチング」だ。同様の事業は、日本政策金融公庫などでも取り組んでいる。

 例えば、市内で船舶部品を手がけるA社(従業員71人)は今夏、伊丹市で鉄道向け電動装置を作るB社(同24人)と取引を始めた。

 A社は船舶業界の活況を受けて受注増を見込んで外注先の拡大を模索する中、同公庫が両者を仲介。B社は、次の不況に備えて別の事業を探していた。

 アマポータルはこうした「出合い」に役立つよう、企業情報を一元化して速やかにきめ細かく発信する。問い合わせは徐々に増えつつあるという。

 市は他にも電子地域通貨「あま咲きコイン」で消費を喚起したり、技術力向上や省エネルギー化を進める業者に設備投資を補助したり…。市幹部が言った。

 「市内には多様な企業が混在しており、一業種の好不況には左右されにくいが、事業者の課題はそれぞれに違う。行政は多彩なメニューをそろえて下支えをする必要がある」

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