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住宅街を運行する循環バス=川西市の大和団地(撮影・斎藤雅志)
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住宅街を運行する循環バス=川西市の大和団地(撮影・斎藤雅志)
開発から約半世紀を迎えた県内最大規模のニュータウン・大和団地(撮影・斎藤雅志)
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開発から約半世紀を迎えた県内最大規模のニュータウン・大和団地(撮影・斎藤雅志)
自治会の会費で遊具を設置した大和団地の役員たち=川西市大和西2
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自治会の会費で遊具を設置した大和団地の役員たち=川西市大和西2
神戸新聞NEXT
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 川西市長・市議選が9日に告示される。市制施行以来、「住宅都市」として成長した同市はニュータウンに住む人口が全体の4割を占め、その多くで高齢化が進む中、どう活性化に導くかが問われる。その一つ、全国屈指の巨大ニュータウン「大和団地」でも、公共交通網の維持や子育て世帯の呼び込みに苦慮している。「縮図」とも言えるまちから市政の課題を探った。(久保田麻依子)

■高齢者の足守れ

 坂道に一戸建てが整然と立ち並ぶ。約4800世帯、1万人が暮らす大和団地は、昭和40年代前半に造成が始まった市内で最も古いニュータウンだ。

 開発から50年が過ぎ、直面しているのが「バスの継続」。2020年の国勢調査によると、大和地区の高齢化率は42%で、市平均の32%を上回る。運転免許を返納する人の増加が見込まれるが、地区を循環するバスの運行は安泰ではない。

 01年から阪急バスが地区内で走らせる「大和バス」は、市が年間約1500万円を補助しながら、近年は大幅な赤字が続いている。

 住民らは20年12月から検討会を立ち上げ、市と同社と三者で協議を続け、減便と値上げを行うことで継続にこぎつけた。しかし、今年10月から2年間という期限付きでしかない。

■遊具更新にも財政事情

 地区中心部の公園には乳幼児向けの真新しい遊具や、安全に遊べるフェンス付きの砂場がある。自治会から100万円以上を投じて設置し、市に寄贈したものだ。

 植木信嘉自治会長(82)によると、遊具は老朽化が進んでも、市は財政難を理由に更新をためらうケースがあるという。

 ただ、それは市にとっても、ここ数年は財政再建に集中してきた経緯がある。

 市は20年4月に「財政健全化条例」を施行し、公共施設の使用料や手数料の見直しを進める。23年春には最大1・5倍の値上げに踏み切る予定だ。補助金交付を巡っても関係団体と削減に向けた調整をしている。

 その結果、21年度決算では年間約1億2千万円の経費削減を達成した。経常収支比率や実質公債費比率は18年度に比べて軒並み改善。とはいえ、コロナ禍の影響で市税収入は落ち込み、財政の豊かさを示す「財政力指数」は、阪神間7市町で2番目に低い状態になっている。

 「子どもが元気いっぱいに遊ぶ姿が団地に活気を生む」。大和地区自治会は公園の環境整備をそう期待するが、市は「福祉や医療など、より優先度の高い事業に力を入れていきたい」と理解を求める。

■大型事業の波及効果は

 直近で市が優先してきたのは基盤整備だ。医療再編を進め、市立川西病院を中心市街地に移転させて9月に市立総合医療センターが開院。救急センターや一部の高度医療にも対応する。北部にあった川西病院の跡地には、民間病院が回復期を中心とした医療施設を来春に開院させるが、さらなる医療体制の充実を求める声もある。

 学校を巡っても、9月には阪神間で最後となる中学校給食をスタートさせ、オンラインを使った授業ができる体制も整えた。

 「住みよさを底上げしニュータウンにも波及効果を期待したい」と市幹部。徐々に追い風も吹いている。

 国が今年9月に発表した基準地価で、市内のニュータウンは軒並み上昇。大和地区の基準地価も3%超上昇し、未就学児もここ5年で6%ほど増えた。コロナ禍のテレワーク普及で、土地の広さや値頃感が子育て世代に重視されている。

 子どもが増え、高齢者もより過ごしやすい地区へ、大和自治会も公園での遊び方を巡って話し合うようになった。前自治会長の尾崎寛心さん(57)は「活性化へ、市と活発に意見と知恵を出し合いたい」と話す。

 どんなリーダーを求められるか-。市長選・市議選は16日に投開票される。

     ◇      

 神戸新聞社は、川西市長選・市議選の立候補者名を電子版「神戸新聞NEXT」で速報します。市議選はウェブ限定の特別企画として、各候補者の主張や自己PRなどを詳しく紹介します。

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