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サンドイッチ店を営む白川真奈さん=尼崎市稲葉荘2
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サンドイッチ店を営む白川真奈さん=尼崎市稲葉荘2
定番商品の「ボロネーゼ」。チーズを追加することもできる=尼崎市稲葉荘2
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定番商品の「ボロネーゼ」。チーズを追加することもできる=尼崎市稲葉荘2

 ママたちが一息つける場をつくりたい-。そんな願いを込めてオープンした兵庫県尼崎市稲葉荘2のカフェ「サンドイッチホーム」が人気だ。できたてのホットサンドを食べたり、テイクアウトしたりできる。店主の白川真奈さん(30)は、息子2人が共に、全身の神経や筋肉が衰える国の指定難病を抱え、子育てする中での気付きが原動力になっている。(村上貴浩)

 パンであふれんばかりの具を挟さみ、さっくりと焼き上げる。店内では子どもたちがはしゃいで走り回り、母親たちはホットサンドと飲み物を手に日々の情報交換をしている。

 店は今年1月にオープン。3階建ての自宅の1階を店舗にし、中にはカウンターとキッチン、そして奥には子どもが寝られる大きいベッドが2台並ぶ。自転車に乗って店先で商品を受け取れる小窓「サイクリングスルー」もある。

    ◇    ◇

 尼崎市出身の白川さん。大学時代まで地元に住み、結婚と同時にゆかりのない徳島県へ移った。しばらくして妊娠、出産したが、周りには親や友達など頼れる人がおらず、孤独感にさいなまれていた。

 そんな中、長男が気を失って倒れた。診断結果は「ミトコンドリア病」。細胞内でエネルギーを作るミトコンドリアが働きにくくなる病気で、運動機能の低下などが症状としてある。

 「目を覚まさないかもしれない」。医師にそう宣告された。奇跡的に意識を取り戻したが、丁寧なケアが欠かせない。その後、次男が誕生し、同じ病気であることが判明した。

 目が回るような日々が過ぎていった。

 転機は2020年。夫の転勤で尼崎に戻ることが決まった。古里の空気を吸うと、忙しい子育ての中でも肩の力が抜けて、ふと気が付いた。「子どもにイライラすることもあるけど、歩いたり笑ったりしてくれる毎日は、奇跡なんだ」

 すると、こんな思いが湧き上がった。

 「子育てするお母さんたちに、自分を大切にしてほしい」

 息子2人のケアで会社員のような働き方はできないが、これまでの経験を生かし、応援のできる店を開こうと思い立った。

    ◇    ◇

 何より大切にしたいのは「食事」だった。自分は家事と子どものケアに追われ、納豆ご飯ばかり食べていた。全てが子ども優先で、偏った食生活になっていたといい、「まずはお母さんがしっかり食べないといけない」と考えた。

 たどり着いたのが、サンドイッチ。片手で食べることができて、具材次第で栄養と満足感をしっかりと得られる。食べ終わった後の片付けも簡単で、理想の商品に思えた。

 試行錯誤を経て、定番商品を決めた。それが、濃いめに味付けをしたひき肉を挟んだ「ボロネーゼ」(税込み500円)や、大量のゴボウを使った「ごぼうサラダ」(430円)だ。

 サイクリングスルーを設けたのは「子どもを迎えに行って自転車から降りずにご飯を買いたい」という過去の思いから。

 さらに「子どもはいすに上がったりするから靴の脱ぎ履きが大変」という経験から、店内は靴を脱いで入るようにし、子どもたちが自由に動けるようにした。

 ほがらかに笑って言った。「気軽に立ち寄ってほしい。お母さんたちに『あなたたちは頑張ってるよ』って伝えたい」

 午前8時半~午後3時。期間限定の商品もある。火曜日定休日。店内利用は平日のみ。サンドイッチホームTEL050・1462・7307

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