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昨年度に比べて「0.4%の減額」。この春、無情の通知が届いた。(画像の一部を加工しています)
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昨年度に比べて「0.4%の減額」。この春、無情の通知が届いた。(画像の一部を加工しています)

■わずかな年金、また減らされた/兵庫県西宮市内の74歳主婦   

 「4月分の年金を見て『ああ、やっぱり』とがっくり。しっかり減らされてました。もともと国民年金と厚生年金を合わせると、もらうのは月8万円ちょっとかな。だから0・4%減となると、減るのは数百円。小さいと言えば小さいけど、夫婦でつましく暮らす身には、痛いですよ」

 

 -兵庫県西宮市内の主婦(74)。今春届いた通知書には「昨年度から0・4%の減額改定となります」とあった。マイナス改定は2年連続となる。

 「長い間、司書として非正規で働いてたんです。子ども3人を抱えて頑張って働いたけど、生活はきつきつ。大学図書館に働き口が見つかり、正規雇用になったのは40代半ばかな。でも実家のある東京にしょっちゅう通わなきゃいけなくなり、52歳で退職しました。のちに年金事務所で『あと数カ月働いたら、厚生年金がもっと出たのに』と言われ、がくっときました」

 

 -年金の減額は、現役世代の賃金水準が下がったためだ。背景には新型コロナウイルスの影響がある。一方、物価は天井知らずだ。

 

 「食品も光熱水費もすごく値上がりしてますよね。5月だったかな、ガス代の請求が急に高くなって1万円を超えてました。請求書を見て跳び上がり、夫と『これどうするの』って言い合いですよ。夫も年金生活者。2人で生活費を出し合ってやりくりしてるから、どっちも『そんなの出せないよ』って。物価はどんどん上がってるのに、年金は減り続けるなんてね」

 「買い物へ行ったら、値引きシールのついたお肉や魚に手が伸びます。2割引きとか半額とか。前はそうでもなかったんだけど。同世代の友達は『電気代が怖くてエアコンをつけられない』って。民生委員もしてるから、独居の人が熱中症で倒れないか心配です」

 

 -岸田文雄首相は「持続可能な年金制度にする」と訴えるが、減り続ける年金に現役世代は不信を抱く。

 

 「いま若い人が一生懸命に働いているのに賃金が上がらないでしょ。自分も非正規が長かったから、その苦しみが分かるんです。『自分たちは年金もらえるのか』と不安だと思う。私たちが『減るのは困る』と言うと、現役世代に『勝手なことを言うな』と怒られそう。でもそれはおかしくない? 世代間の分断では解決しないと思うんです。年金だけじゃなく、低賃金や雇用の安定、男女の賃金格差も含めて、解決しないといけないでしょ。一人一人の暮らしをちゃんと国が支えてほしい。そのための仕組みを考えてほしい」(聞き手・山岸洋介)

     ◆   ◆

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