阪神

  • 印刷
何とかやり繰り。でも「麺と野菜は大盛無料」は譲れない。
拡大
何とかやり繰り。でも「麺と野菜は大盛無料」は譲れない。

■苦渋2度の値上げ、踏ん張りたい/二郎系ラーメン店主・男性

 「いつまで上がり続けるんや、って思いますよ。本当に。毎月、ガス代の通知を見て『マジか』って…。材料も光熱費も高騰してて、人間関係がうまく回らないこともある。この夏を乗り切れるかどうかにかかってるんです。政治と暮らしの距離を、ここまで近く感じたのは初めてです」

 -兵庫県尼崎市を拠点に阪神間で3店を構えるラーメン店「麺屋 徳」。背脂やもやし、チャーシューが山盛りの「二郎系ラーメン」が主力だ。代表の男性(42)は、この半年で2回の値上げを決めた。

 「二郎系なのでスープにもチャーシューにも背脂にも必ずいるのは豚肉です。1キロ630円だったのが今は950円。特にウクライナ情勢でヨーロッパ産の輸入が難しくて、海外産が全体的に値上がりしている」

 「光熱費はコロナ前の約1・5倍。ラーメン屋は開店中、お客さんの有無に関係なく、ずっとお湯を沸かしてるんです。これまでは光熱費全体で月12万円だったのが、今はガス代だけで12万円ですからね」

 「それに今年は暑くなるのが早いからクーラーを例年以上につけている。お客さんに暑いところで食べさせられないですよ」

 

 -大阪ガスは標準的な家庭のガス料金を昨年8月から1年間で約1300円値上げした。原油や天然ガスが高騰し、電気代も上がり続けている。

 

 「安易に安い食材を使えば質が悪くなる。1杯の量を減らそうかとも考えたけど、二郎系を食べにきて、少なかったら嫌でしょ?」

 「そこで2月に30円ぐらい値上げしたら、読みが甘かった。ここまで物価高が続くとはね…。朝に営業をしたり、経営分析をしたりしても、売り上げは落ちて4、5月は赤字。苦渋の決断で6月にさらに1割増しにした。過去最高値です」

 「妻とは離婚寸前になって、店長の1人が辞める話も出てる。でも妻と子ども3人、従業員30人、そしてお客さんのために踏ん張りたい。諦めてないですよ」

 

 -政府はコロナ禍で困窮した中小企業や飲食店に協力金を支給してきた。

 

 「協力金はありがたかったけど、継続した支援制度がほしかった。原価を抑えようと自家製麺に挑戦している。ただ、製麺機を買うにもお金がいる。融資を受けるのも難しくて、どうしようか考えてる」

 「今、1票の重さをすごく感じる。カウンターに『選挙に行こう』ってステッカーを貼りたいくらい。まずは投票する私たちの意識が変わらないと駄目なんじゃないかって思うんです」(聞き手・村上貴浩)

     ◆   ◆

 参院選の投開票が10日に迫る。身近に浮かび上がる政治の課題や、一票に託す思いを聞いた。

【特集ページ】参院選2022

阪神参院選兵庫22
阪神の最新
もっと見る
 

天気(9月7日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 20%

  • 37℃
  • ---℃
  • 40%

  • 35℃
  • ---℃
  • 20%

  • 35℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ