全国高校野球選手権兵庫大会で、20日の4回戦で敗れた須磨翔風。3年生の李晴陽(り・はれ)は病で大好きな野球を一度は離れたが、最後の夏は試合前練習のノッカーとして己の役割を全うした。 異変が起きたのは昨春。ひどい頭痛で朝、立ち上がれなくなった。めまいで運動どころではなく、1年ほど闘病。それでも戻ってきたのは「みんなに貢献したい」という思いがあったからだ。2月、中尾監督らの薦めで選手コーチを担い「部活動の意義を見つけた」。またバットを握った。 ノーバウンドになったり、高く跳ねすぎたり。「選手の練習にならない」と悩んだが、仲間が盛んにノックを求めてくれたおかげで上達。今大会は3試合とも任された。 試合前の3分間で、打球にメッセージを込めた。「ありがとう」「頑張って」。思わず力がこもり、ライナー性の当たりも。4回戦で三田学園に惜敗したが、仲間のすがすがしい表情がうれしかった。「支えたいって思ったけど、支えられていた。感謝しかない」。李の声もまた晴れ晴れとしていた。(井川朋宏、初鹿野俊)【高校野球特集ページ】こちら【選手名鑑ページ】こちら