19世紀の思想家ソローは、国家が誤っている時に、その命令に従わない権利、「市民的不服従」の精神を説いた。先月28日、カナダの首都オタワに到着したのは国内外で注目を浴びる、トラック運転手らが率いる大規模抗議デモの先頭部隊だ。事の起こりはカナダ政府が運転手たちに課した新型コロナワクチン接種義務命令だった。拒否すれば入国禁止か2週間の隔離となり、日常的に国境を越える運転手たちには死活問題になる。
カナダでは生活必須職従事者(警察、医療・福祉、消防士、小売り、物流、郵便配達、トラック運転手等)は接種義務が免除されていたが、運転手の多くは既に複数回接種済みだった。だが政府の「自由への抑圧」が暴走していることに危機感を抱いた彼らは意を決し、西部ブリティッシュコロンビア州から数千キロ先の首都に向けて出発した。米国ゆきの南向き車線とカナダに来る北向き車線が大型トラックの長蛇の列で塞(ふさ)がれる光景が、瞬く間にネットに拡散され、カナダ全土や米国から列に加わるトラックは数万台を超えた。
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