記者として芦屋市で取材をしていたとき、偶々(たまたま)、市役所の近くの公園で「ぬえ塚」を見つけた。史跡というのは、見つけた瞬間に日常の風景に、その土地の歴史が重なって見えてくるから面白い。
「鵺(ぬえ)」というのは、平安時代に都を騒がせた化け物。その姿は頭は猿で体は狸(たぬき)、手足は虎で尾は蛇という奇妙なもので、時の帝(みかど)を悩ませた。そこで武士の源頼政は御所の上空の黒煙とともに現れた鵺を射落とし、見事に討ち取ったという。その死骸は疫病をもたらすからと、小さな舟で川に流された。その舟が流れ着いたのが、芦屋の浜だと言われている。
この記事は会員限定です。新聞購読者は会員登録だけで続きをお読みいただけます。