2004年に初演したオペラ「Jr.バタフライ」では、太平洋戦争を題材に、「なぜ戦争は起きてしまうのか」を描きたいと思いました。構想のもとにしたのはプッチーニのオペラ「蝶々夫人」です。台本の島田雅彦さんと話すうち、「“蝶々さん”の息子は、その後、どうなったのだろう?」という案が出ました。
米海軍士官のピンカートンと長崎の芸者蝶々さんの悲恋を描く「蝶々夫人」は、彼の帰国と蝶々さんの自害で幕を閉じます。2人には幼い男の子がありましたが、彼のその後は描かれていません。その子を主人公にし、「蝶々夫人」の後日談を描こうという発想です。
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