男性保護者対象の「パパひろば」、妊娠中や産後早期からつながるためのイベント、障害のある子と家族も安心して参加できるコンサートや、日中は仕事などで来られない人に向け夜間に開く「よるブーケ」…。常設の居場所を運営する川西市のNPO法人「育ちあいサポートブーケ」は、「すべての子育て家庭に届く支援」を目指し、ネットワークを地域全体に広げています。
代表理事ですきっぷ運営委員の藏原亜紀さん(57)の原点は約20年前、同市の嘱託職員として担った子育て支援拠点の立ち上げでした。当時、在宅育児家庭の支援は手薄でしたが、親を「指導」するのではなく家族も含めた支援の重要性を実感し、大学院で意義やありかたなどを研究。2011年、仲間とブーケを設立しました。19年からは市の委託を受け、ショッピングモール上階にある子育て支援ルームをほぼ年中無休で運営。2人のスタッフが見守る部屋にはおもちゃも情報も豊富で、23年度は延べ約5千組が訪れました。
児童館や他団体とも連携し、多様な対象を想定した新たな活動に乗り出す一方、大切にすべきことがぶれないようにと、「今の精一杯(いっぱい)をリスペクトしよう!」といった「クレド(行動指針)」を全スタッフで話し合い、23年に策定。事業や普段の関わりの軸にしています。子も親も支援者も、誰もがゆっくりと“育ちあえる”ように。強い信念に基づいた温かなまなざしが、地域に着実に広がっています。
(すきっぷスタッフ 萩原 真)