まちの未来を担う子どもたちに、幼少期から豊かな芸術文化を-。加東文化振興財団(兵庫県加東市)は、子育て支援に重点を置く同市と歩調を合わせ、年齢や時期に応じて、「本物」に触れる機会を積極的に提供しています。
恒例行事となっているのは、体操曲「エビカニクス」で知られる音楽ユニット「ケロポンズ」のコンサートと、名作絵本「11ぴきのねこ」シリーズの人形劇。両公演は「静かに聴く」だけでなく、親子で体を動かしたり、舞台いっぱいに躍動する人形の動きを楽しんだりと、乳幼児の発達も考慮した、全身で体感できる内容で、数百人規模の会場がたびたび満員になる人気といいます。
同様に力を入れているのは、子どもたちのもとへプロの音楽を届ける「アウトリーチ」事業。2012年から続く「音楽キャラバンがやってきた」(旧「おん☆かつ」)は、フルートやバイオリンなどの奏者らが市内全小学校に出向き、4年生にクラシック音楽を披露。楽器を間近で見て触って、特徴や歴史を学びます。中学校には琴や和太鼓などの邦楽演奏家を派遣。20年からは認定こども園でも「音楽キャラバン-」を試験的に実施。迫力ある生演奏に、園児も夢中で聴き入るそうです。
事務局長の村上秀昭さん(68)は、「赤ちゃんからお年寄りまで、障害や国籍などの違いも認め合いながら参加できる場をつくれたら」と、さらなる目標を抱いています。
(すきっぷスタッフ 萩原 真)
2024/06/09 神戸新聞