ホールで音楽鑑賞。乳幼児連れには縁遠く感じがちですが、JR西宮駅前の西宮市フレンテホールは、そんな「参加しにくい人」こそ大切にしようと、ほかにはない自主事業を続けています。館長の衣川絵里子さん(41)は「幼いうちから気軽にアートに触れ、構えず楽しんでもらえるようになれば」と話します。
来年で開館30年となる同ホール。他市のホールで多彩な企画を手がけた衣川さんらがビル管理会社などと組み、2018年から指定管理者となったのは、定員300人のホールの「可能性」を感じたから。客席を収納すれば、ベビーカーのまま入場できるなど枠にとらわれない催しができます。
今年1月に始めた「おんベビ!」は、0~3歳児とその親が対象。助産師や音楽関係者らでつくるプロジェクトと共同で、「歌うこと」の効果を味わってもらい、検証にもつなげる取り組みです。親子で楽器の音を体感したり、アカペラで歌ったり。会場には保育士もおり、最後はママ、パパのためのミニコンサート。毎回すぐに完売する人気だそうです。
ほかに小中学生の実行委員会が自由かつ本格的に音楽会を企画・運営するイベントや、演劇と謎解きを楽しみながらクラシック音楽に触れるコンサートなども。子どもたちが能動的に参加し、終了後も興味が続くような工夫と仕掛けがあふれています。
芸術の秋。親子で気兼ねなく、本物のアートを体験してみませんか?
(すきっぷスタッフ 萩原 真)
2023/11/12(日) 神戸新聞