ヤマモトマサアキ・画
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  第三章 行き違う人々(六十一)

「信長は去年、公方殿に『五箇条の意見書』を突き付けた。将軍家の為すことはすべて、織田家の決裁を経なければならない、というあれだ。されど公方殿は本来、征夷大将軍として日ノ本のすべての武門をべる棟梁である。いくら大いなる後ろ盾とはいえ家来たる織田家から、そのような指図を受けるいわれはどこにもない」